大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岐阜地方裁判所 昭和59年(わ)14号 判決 1984年3月28日

裁判所書記官

日比義孝

本店所在地

岐阜市真砂町九丁目一五番地

商号

株式会社 三光堂

代表者の住居

右同所

代表者の氏名

山賀勇

本籍及び住居

岐阜市真砂町九丁目一五番地

会社役員

山賀勇

大正一二年六月二日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官松浦由記夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社三光堂を罰金一二〇〇万円に、被告人山賀勇を懲役一〇月に処する。

被告人山賀勇に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社三光堂は、岐阜市真砂町九丁目一五番地に本店を置き、一般高圧ガス及び液化石油ガスの販売等を業とするもの、被告人山賀勇は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人山賀勇は、被告人会社の業務に関し、売上の一部を除外するなどの方法により、所得の一部を秘匿して、法人税を免れようと企て、

一  被告人会社の昭和五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、実際所得金額が七九五六万五五六六円でこれに対する法人税額が三〇七三万八九〇〇円であるのに、右所得金額中六三一一万四六四六円を秘匿した上、昭和五六年二月二八日、同市千石町一丁目四番地所在岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六四五万〇九二〇円でこれに対する法人税額が五四九万八〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、前記正当税額との差額二五二四万〇九〇〇円の法人税を免れ

二  被告人会社の昭和五六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、実際所得金額が六七二一万八八二四円でこれに対する法人税額が二六九一万三九〇〇円であるのに、右所得金額中三二九五万四六三〇円を秘匿した上、昭和五七年三月一日、前記岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三四二六万四一九四円でこれに対する法人税額が一三〇七万六〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、前記正当税額との差額一三八三万七九〇〇円の法人税を免れ

三  被告人会社の昭和五七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、実際所得金額が七五五六万〇〇八五円でこれに対する法人税額が三〇四五万九〇〇〇円であるのに、右所得金額中三九五〇万九八三九円を秘匿した上、昭和五八年二月二八日、前記岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三六〇五万〇二四六円でこれに対する法人税額が一三八六万七六〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、前記正当税額との差額一六五九万一四〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(逋脱所得金額の確定内容は別表(一)ないし(三)の各修正損益計算書の、税額計算については別表(四)ないし(六)の各税額計算書の各記載のとおりである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人山賀勇(被告人株式会社三光堂代表者)の当公判廷における供述

一  被告人山賀勇作成の昭和五八年九月一二日付上申書

一  被告人山賀勇の検察官に対する供述調書

一  被告人山賀勇の大蔵事務官に対する質問てん末書(七通)

一  細江正道、市川美智子(三通)及び虫賀玲子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の昭和五八年一一月二日付、同月四日付、同月五日付(記録証第一二〇号のもの、記録証第一二一号のもの、記録証第一二二号のもの、記録証第一二五号のもの)、同年一二月二日付各査察官調査書

一  大蔵事務官作成の昭和五八年一二月二〇日付証明書(記録証第一〇四号のもの)

一  山口功・山内誠良(記録証第八六号のもの)、杉山忠・岡部和己(記録証第七七号のもの)及び山川祐二・伊佐治泰典(記録証第七八号のもの)作成の各証明書

一  押収してある請求控一綴り(昭和五九年押第一三号の七)、決算書一綴り(同押号の八)及びゴム印一個(同押号の一一)

一  登記官作成の登記簿謄本

判示一、二の各事実について

一  大野真一・遠藤峰史作成の証明書(記録証第六九号のもの)

判示一の事実について

一  大蔵事務官作成の昭和五八年一〇月一三日付証明書(記録証第九五号のもの)

一  押収してある元帳一綴り(昭和五九年押第一三号の一)、アドバルン請求控・アドバルン受注簿一綴り(同押号の九)、集計表一綴り(同押号の一〇)及び金銭出納帳一綴り(同押号の一二)

判示二、三の各事実について

一  堀辰巳・浅野浩一郎(記録証第七一号のもの)、両角能朗・中川昌郎(記録証第七三号のもの)、鶴井智康(記録証第七四号のもの)及び野村章・長谷部久勝(記録証第八四号)作成の各証明書

判示二の事実について

一  大蔵事務官作成の昭和五八年一〇月一三日付証明書(記録証第九六号のもの)

一  井口英夫・細川博作成の証明書(記録証第七二号のもの)

一  押収してある元帳一綴り(昭和五九年押第一三号の二)、集計表一綴り(同押号の五)及び金銭出納帳一綴り(同押号の一三)

判示三の事実について

一  被告人山賀勇の昭和五八年一一月七日付上申書

一  竹部昌男作成の上申書

一  大蔵事務官作成の昭和五八年一一月五日付各査察官調査書(記録証第一二三号のもの、記録証第一二四号のもの)

一  大蔵事務官作成の昭和五八年一〇月一三日付証明書(記録証第九七号のもの)

一  三輪篤・大河内勝義(記録証第七九号のもの)、土屋暁・大村都洋(記録証第八五号のもの)、岡部和己(記録証第九二号のもの)、井口英夫・土屋雅宣(記録証第九三号のもの)、大澤稔・須賀実(記録証第八一号のもの)及び鶴井智康(記録証第七五号のもの)作成の各証明書

一  押収してある元帳一綴り(昭和五九年押第一三号の三)、仕入帳一綴り(同押号の四)、集計表一綴り(同押号の六)及び金銭出納帳一綴り(同押号の一四)

(法令の適用)

一  被告人株式会社三光堂

(1)  判示一の所為 昭和五六年法律五四号(脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律)による改正前の法人税法一五九条一項、一六四条一項

判示二、三の各所為 いずれも右改正後の法人税法一五九条一項、一六四条一項

(2)  併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

一  被告人山賀勇

(1)  判示一の所為 行為時においては昭和五六年法律五四号(脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律)による改正前の法人税法一五九条一項に、裁判時においては右改正後の法人税法一五九条一項に該当。刑法六条、一〇条(軽い行為時法の刑による。)

判示二、三の各所為 いずれも右改正後の法人税法一五九条一項

(2)  刑種の選択 各所定刑中各罪について懲役刑を選択

(3)  併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示三の罪の刑に法定の加重)

(4)  刑の執行猶予 刑法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 山口博)

別表(一)

修正損益計算書

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日

<省略>

別表(二)

修正損益計算書

自 昭和56年1月1日

至 昭和56年12月31日

<省略>

別表(三)

修正損益計算書

自 昭和57年1月1日

至 昭和57年12月31日

<省略>

別表(四)

税額計算書

自昭和55年1月1日

至昭和55年12月31日

<省略>

別表(五)

税額計算書

自昭和56年1月1日

至昭和56年12月31日

<省略>

別表(六)

税額計算書

自昭和57年1月1日

至昭和57年12月31日

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例